鍋を捨てた話

一人暮らしをしていると、食べきれないほど食事を用意してしまうことがよくある。
今年の夏、中華料理がむしょうに食べたい日が続いていて、しょっちゅう回鍋肉や八宝菜などを作っていた。

中でも一番好きな麻婆豆腐は良く作っていたが、ある日、作り置きした麻婆豆腐を冷蔵庫に入れずにフライパンに入れたまま外出してしまった。
暑い夏の日に、料理を冷蔵庫に入れていないと、当然痛む。

案の定、帰ってきたとたん嫌な臭いが漂う。
コンロに残るフライパンを見た瞬間、落ち込んだ。

食べ物を粗末にしてしまったことへの罪悪感と、今から片付けないといけないという面倒なことを思い浮かべたからだ。
まずは麻婆豆腐を捨てて、お湯を出しながら洗剤で何度も洗ったが、腐敗臭がテフロンに残っていた。

鼻に匂いがこびりついているのかと思ったが、やぱりフライパンだ。
そのあと、重曹やクレンザーなど色々なものを試したが臭いは消えない。
とうとう私はそのフライパンを捨ててしまうことにした。

使い勝手の良い安物だったが、自分の不注意で捨てることが申し訳なくてたまらなかった。
それから、食べ物の扱いにはかなり厳しくなったものだ。

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